難関大学現役合格のための学習指針【高1から受験期までの勉強法】

難関大学合格のための学習指針 受験対策
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1.はじめに

 ごきげんよう!椎名まつり(@417matsuri)です。今回の記事では、一般受験での大学受験について、深く掘り下げて考えていきたいと思っています。特に、これまでの指導経験や受験に関する知識をもとにして、「難関大学がなぜ難関なのか」を徹底的に分析し、高1から受験期までの各過程において必要な対策と目標とすべき数値を紹介していきます。

 なお、具体的なプランニング方法については、別の記事で紹介をしていますので、今回は扱いません。以下の記事も合わせて参考にしてみてください。

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2.難関大学はなぜ難関なのか ~対策の指針について~

 難関大学が多くの受験生にとって難関である所以は、ライバルとなる受験生の質が高いことにあります。多くの難関大学では試験問題そのものも難しいのですが、それは受験生の質が平均的に高いため、ふるいとなる問題が難しくなっていると理解することが正しいでしょう。東京大学理科Ⅰ類も金沢大学の理工学域も合格最低点は約6割ですが、これは東京大学のほうが受験生のレベルが高いため、試験問題が難しくなっているということを示しています。

 また、地方国公立大学の医学部では試験問題自体はそれほど難しくないですが、医学部受験生はレベルが高く、合格のためには高得点を取る必要があります。例えば熊本大学医学部の2020年度の合格最低点は1200点中の946点で、これは約79%です。同大学の理学部・工学部の合格最低点が50%前後であることを考えると、驚くべきレベル差であることが分かるでしょう。

 では、この「質の高いライバル受験生」をさらに分析していきましょう。こうした難関大学の受験生の多くは、トップレベルの進学校(特に中高一貫校)の生徒や浪人生です。彼らの特徴は「学習スピードの速さ」「演習量の多さ」にあります。

 例えば理系であれば、トップレベルの進学校の生徒は高校2年生までに数学Ⅲや理科の発展科目の学習を終え、高3の1年間を共通テストや二次試験などを意識した演習に充てています。また、上位の浪人生も同様に1年間を二次試験レベルの演習に充てており、現役生よりも二次試験で高い得点を取ってきます

 では、こうした現状を踏まえ、難関大学を目指す皆さんは何をしなくてはならないのでしょうか。第一に、学習スピードを高める必要があります。学校での学習スピードが遅く、高校2年までに受験で必要な科目の学習が終わるように設計されていない場合、自習や予備校での学習によって補う必要があります。そして、高校3年生の1年間で、トップレベル進学校の生徒や浪人生たちに劣らない量・質の演習を行うことが重要です。

 また、国公立大学を志望する場合は共通テストで高得点を取って逃げ切る戦略が有効です。どれだけ学習スピードを高めたとしても、浪人生が持つ1年間という時間的なアドバンテージを埋めることは非常に困難です。そのため、二次試験では浪人生に劣るということを意識し、共通テストで高得点を取るための努力をしましょう。

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3.難関大学合格のためのステップ

 以上の分析を踏まえ、難関大学を志望する皆さんが高校1年生の段階から踏んでいくべきステップはどのようなものになるのかを検討していきます。もちろん、皆さんが文系なのか理系なのか、志望校が国公立大学なのか私立大学なのかによって、ステップは大きく変わってきます

 今回の記事では、文理や国公立・私立の違いをある程度意識しつつ、必要となるステップを紹介していきますので、皆さんの志望校に合わせて内容を理解してもらえればと思います。なお、この数字は過去の指導経験等に基づく経験則であり、すべての学習者に当てはまるものではありません。

 現時点で以下の内容を達成出来ていない場合でも、「強烈な努力」で取り返すことも可能でしょう。具体的には高1では1日あたり8~10時間、高2では10~12時間、高3では15~18時間の学習を数ヶ月にわたって行えば遅れを取り戻すことが出来ると考えてください。

1.高校1年生のうちにやっておくべきこと

 高1ではまだ文系・理系や志望校を国公立大学にするか私立大学にするかを決めていない人も多いかと思います。この時点では英語・数学・国語を中心に学習を行いましょう。ただし、私立文系に志望校を決定している場合は数学は不要です。

 英語については、具体的な目標はセンター試験の過去問なら筆記で120点、共通テストであればリーディングで55~60点となります。この程度の点数があれば高校3年生の本番では8割以上の得点を狙うことができます。もちろん、東大・京大・医学部などの超難関大学を狙う場合や、英語が得意で英語で差をつけることを考えている場合はさらなる高得点が求められます。

 また、細かい事項を除いた英文法をひと通り学習することができるのはこの時期だけになるでしょう。以下の記事でも説明していますが、受験での出題こそ減りましたが、英語全体のレベルを上げる基礎として、英文法を正しく理解する必要があります。否定・強調・倒置の各文法項目については高校2年生で学ぶことが一般的なので、高1ではそれ以外の分野を学ぶことをオススメします。

 数学については数学Ⅰ・Aはセンター試験や共通テスト過去問で80点以上を目標とし、分からない事項がないことを目標としましょう。なお、トップレベルの中高一貫校は高1の終わりの段階で数学Ⅱ・Bの8割以上を既に学習済みとしています。進度の速い学校では理系のみで必要となる数学Ⅲの学習までを終えているケースまであります……。数学Ⅱ・Bについては50点くらいあれば本番で80~90点は狙えます。

 国語については論理的思考力が十分あるなら、あまり焦る必要はありません。漢字検定2級程度の漢字力をつけることと、国公立大学が視野に入っている場合は古典文法をやっておきましょう。センター試験や共通テストでの目標得点は100点です。

 その他の理科や社会については学校の授業を受けつつ、どの科目を選択していくのかを決めていきましょう。基本的な選び方は以下の通りになりますが、大学によって特別な制約がある場合もあるので、志望校が定まっている場合は必ず受験科目を確認しましょう

国公立理系:理科2科目(地学は受験できる学校が少ない)、社会1科目(世界史、日本史、地理、倫理・政治経済の4科目から選択)

国公立文系:理科基礎2科目、社会2科目(ただし、世界史、日本史から最低1つ選択)

私立理系:物理または化学または生物(生物は受験できる学校がやや少ない)

私立文系:世界史または日本史(地理、現代社会、倫理・政治経済は受験できる学校が少ない)

2.高校2年生のうちにやっておくべきこと

 上述の通り、高校2年生が終わるまでにすべての教科でひと通りの学習を終わらせる必要があります。終わっていなくても構わない科目は、国公立理系志望生の数学Ⅲの一部、理科発展科目の一部、社会の選択科目、国公立文系志望生の社会1科目(二次試験で使用する予定ではない科目)のみです。その他のすべての教科・科目では「学んだことがない」という内容はとりあえずない状態にしておきましょう。

 英語については志望校を問わず、センター試験の筆記では150~170点、共通テストではリーディング・リスニングの合計で140点~160点が目標となります。特に、理系は高校3年生の1年間を理数科目の演習に多く充てる必要があるので、高校2年までに英語を完成させるという目標を持つと良いでしょう。

 また、国公立大学(一部の私立大学を含む)を受験する際は「英文和訳」「和文英訳」「自由英作文」の出題への対策を高校2年の段階で行う必要があります。志望校がどのような問題を出題しているかを確認し、必要となる問題形式への対策を始めておきましょう。志望校が未定の場合は「英文和訳」だけ行えば問題ありません。

 数学についてですが、数学ⅠA・ⅡBは国公立文系の志望者を除き、センター試験や共通テストのレベルでは合計で180点が取れるようにしましょう国公立文系志望の場合は基本的に160点程度あれば問題ありません。理系の場合は、二次試験・個別入試レベルの問題についても演習を始めておきましょう。

 理系志望者の数学Ⅲについては、学習の終わった範囲から完成させていき、チャートなどの網羅型問題集の例題レベルから、受験レベルへと高めていくようにしましょう。

 国語については得点の取りやすい古文・漢文を中心に学習し、現代文も演習量を増やしていきましょうセンター試験や共通テストでの目標得点は理系なら120~140点、文系で140点~160点です。

 理科と社会ですが、理系の場合は理科を、文系の場合は社会を高校2年から重点的に学習しましょう。特に、私立大学の個別入試や国公立大学の二次試験で必要となる科目については、できる限り早く学習を終えましょう。ただし、上述の通り理科の発展科目については履修に時間がかかるので、無理をして自習で詰め込む必要はありません

 理科については詳しく見ていくと、数学Ⅲと同じく、学習を終えた分野から順次問題演習などを通じて高いレベルでの理解に進んでいけるようにしていくことが大切です。すべての分野の学習を終えてからレベルを上げていると全く間に合いません

 社会については暗記科目の側面もあるため、国公立大学の二次試験で必要になる場合や、私立文系を志望する場合は自習で学習を進め、どんどん暗記していくことをオススメします。また、国公立大学の二次試験を中心に、数百字レベルの大論述問題が課されるケースがあります。論述問題への本格的な対策は高校3年生になってから行いますが、対策に時間がかかるため、高校2年生のうちから教科書を読み込むなどの基礎的な学習を進めておきましょう

3.高校3年生になってからやるべきこと

 高校3年生の1年間は、前述の通り問題演習のための1年間になります。ひと通りの学習を終えた英語・数学・国語を中心に共通テストレベル、二次試験・個別入試レベルの問題演習を行い、志望校合格を目指していきます。

 国公立大学を志望する場合は、共通テストで高得点を取って逃げ切る戦略をオススメしています。夏までは問題集などを使ってレベルを上げていく作業と並行して、共通テスト対策の教材をやりこみ、河合塾のボーダー得点率+3~5%の得点が最終的に取れるように努力をしていきましょう。河合塾のボーダー得点率については以下のサイトから確認することが出来ます。

 私立大学の個別入試では、共通テストのように簡単な問題部分がないため、得点力の差が浪人生とつきやすく、甘く見ていると足元をすくわれてしまいます。文理を問わず、必要科目を徹底的に鍛え上げ、ライバルたちに負けない得点力を身に着けていきましょう。

 最終的には志望校との距離を測りながら学習を進めていくことになります。模試での判定も重要ですが、この距離は「現在の得点力と大学の合格最低点の差」と理解してください。大学の合格最低点は、極端な外れ値がない場合は過去3年間の最高点を合格最低点として目標にしましょう

 その際は必ず「ゴールから逆算」して、どの科目で何点を取って目標得点を達成するのかを決め、そのためにはどういった学習をする必要があるのかを考えて行動をしましょう。過去問の演習は夏休みに1度行い、その得点から必要な学習を行い、秋ごろに1~2度、冬になってからは本格的に過去問を中心とした対策を行いましょう。

 国公立大学志望で、1つの大学に決めている場合はその学校のみを10年程度演習する価値があるかと思いますが、志望校を複数考えていたり、そもそも複数校の受験が前提となる私立大学を志望する場合は、演習量は3~5年分程度になっても問題ありません。ただし、受験校の過去問については志望度に関わらず、最低2年分は事前に解いておくことをオススメします

 以上のようなステップを自分なりに当てはめ、やるべきことを明確にして、学習を進めることで難関大学合格を目指していきましょう。

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4.おわりに

 結構ずらずらっと書いてしまいましたが、ポイントは2で示したライバルたちの学習スピードに合わせるということに尽きます。合格のためのステップは、そうしたライバルたちのスピードを平均的に説明するとこれくらいだよという内容です。もちろん、最難関の大学ではより高いレベルが求められますし、大学によっては特別な対策が必要なケースもたくさんあります。

 より具体的な対策については機会があればまた書いてみようと思いますが、全般的な内容はこの記事にまとめているので、定期的に見てもらえると新しい発見があるかなと思います。

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