1.はじめに
ごきげんよう!椎名まつり(@417matsuri)です。今回の記事は「英検徹底解剖シリーズ」の第四弾として、英検二次試験のスピーキングセクションの出題形式・配点と合格点・対策方法について書いていきたいと思います。また、準1級から3級までの各試験に存在する「アティテュード」についても、高得点を取るためのコツを伝授したいと思います。英検のスピーキング試験はしっかり対策を取れば合格点を取ることは難しくありません。ぜひ、この記事を読んで目標級の合格を目指しましょう!
これまでに、英検CSEスコアについての紹介、ライティングセクションとリーディングセクション全般の解説を行いましたので、英検についてもっと詳しく知りたい方はこちらも合わせてご覧になって下さい。
今回も特定の級に特化した対策ではなく、3級から1級までの全ての級で通用する、基本的な考え方を説明していきます。是非最後までお読み下さい。ただし、英検1級の二次試験は全く形式が異なっているため、別の記事を使って詳細に解説していく予定です。
2.英検スピーキングの出題形式
まずは英検スピーキングテストの問題形式を見ていきましょう。英検3級から準1級のスピーキングで出題される問題形式は以下の5種類になっています。
- パッセージの音読(2級~3級で出題)
- パッセージについての質問(2級~3級で出題)
- イラストについての説明(準1級~3級で出題)
- イラストに関連した質問(準1級で出題)
- 受験者の意見を問う質問(準1級~3級で出題)
なお、1級は5つのトピックから1つを選び2分間のスピーチを行い、その内容についての質疑応答を行うという、全く異なる内容となっています。
そして、面接試験の流れは基本的に以下の通りです。
- 係員の指示に従い入室
- 面接委員に「面接カード」を渡す
- 面接委員の指示に従い着席
- 氏名・級の確認と簡単な挨拶・質疑応答
- 面接委員から「問題カード」を受け取る
- (2級~3級のみ)パッセージを20秒で黙読
- パッセージの音読
- パッセージについての質問(1問)
- イラストについての説明問題(2級は1問、準2級と3級は2問)
- 「問題カード」を裏返し、受験者の意見を問う質問に答える(2問)
- 「問題カード」を面接委員に返して退室
準1級と1級は問題カードを受け取ってからの流れが異なり、以下のようになっています。
- (準1級・1級のみ)1分間でナレーション・スピーチの内容を考える
- 2分間でナレーション・スピーチを行う
- (準1級のみ)イラストの内容についての質問(1問)
- (準1級のみ)「問題カード」を裏返してから、受験者の意見を問う質問に答える(3問)
- (1級のみ)4分間、スピーチ内容やトピックに関する質問に答える
- 「問題カード」を面接委員に返して退室
各級の試験の流れの詳細については英検ウェブサイトの「英検バーチャル二次試験」を見ることをオススメします(音量注意!)。
次の項では英検スピーキングの配点と合格点を見ながら、どのように対策をしていけば良いのかを考えていきましょう。
3.英検スピーキングの配点・合格点
続いて、英検スピーキングの配点と合格点を紹介していきます。英検の二次試験は一次試験に比べると合格点が低いことが特徴であり、スピーキングの目標得点は他の3技能に比べるとやや低くなっています。
まず、各級の配点についてですが、基本的に2級以下ではパッセージの音読の得点と、Question(パッセージについての質問、イラストについての説明・受験者の意見を問う質問)の得点、アティテュード(態度)の得点から構成されています。また、準1級はナレーションの内容の得点、Question(イラストに関連した質問、受験者の意見を問う質問)の得点、アティテュードの得点から構成されています。
以下の図が準1級から3級までの配点と合格点の一覧になっています。合格点は2級から3級では33点中の20点、準1級では38点中の22点と、約6割になっています。先ほど書いた通り一次試験より求められる得点は低いため、ぜひ一発での合格を目指しましょう!
パッセージ 音読 | パッセージに ついての質問 | イラストに ついての説明 | イラストに 関連した質問 | 受験者の意見 を問う質問 | アティ テュード | 合格点 /合計点 | |
3級 | 5点 | 5点 | 5点×2問 | なし | 5点×2問 | 3点 | 20点/33点 |
準2級 | 5点 | 5点 | 5点×2問 | なし | 5点×2問 | 3点 | 20点/33点 |
2級 | 5点 | 5点 | 10点 | なし | 5点×2問 | 3点 | 20点/33点 |
準1級 | なし | なし | 15点 | 5点 | 5点×3問 | 3点 | 22点/38点 |
なお、1級では、スピーチの内容、質疑応答の内容、語彙・文法、発音が各10点と、全く異なる基準での採点が行われます。また、合格点は40点中の26点で、6割5分の得点率が求められます。
では、これらの5つの形式の問題の対策方法やどこを得点源にしていくべきかというアドバイスと、採点基準のところで突如登場した「アティテュード」とはどのようなものかについて続けて紹介していきます。
4.英検スピーキング問題の対策方法
では、具体的な対策に話を移していきましょう。まず、全ての級や問題の形式を問わず重要になるポイントとして、アティテュードについてを扱い、その後に5つある問題形式について対策方法を説明していきます。実は、英検のスピーキングテストはリーディング能力を試す問題や、リスニング能力が複合的に試される問題もあるため、単純にスピーキングだけの対策をしていても不十分な場合があります。
1.アティテュードについて
では、英検準1級から3級までの各級で3点ずつの配点があるアティテュードについてを取り扱っていきます。アティテュード(Attitude)は「態度」という英単語ですが、これはその名の通りテストを受ける態度を点数化したものです。
具体的な採点基準は明確にされていませんが、ポイントは幾つか存在しており、それに基づく指導が一般的に行われています。例えば、英検の二次試験を受けたことのある方は入室の際にMay I come in?と言って入るように指導されたのではないでしょうか。こうした入室の仕方であったり、最初の挨拶でHow are you?のようなちょっとした質問に答える態度であったりする点がアティテュードの得点に影響を与えます。
また、質問をされた際の聞き返し方も重要なポイントで、不自然な間が空いたり、何度も聞いてしまうと減点の対象となります。そのため、質問が分からなかったらすぐにCould you say that again?などと丁寧な聞き返しを自然なタイミングで行いましょう。また、1度2度聞き直しても分からない場合は、Sorry, I don’t understand your question.のような形で問題をこちらから切り上げましょう。
英検のスピーキングテストにおいて不自然な無言が続いてしまうと、これはアティテュードの得点を大きく下げてしまう要因になります。そのため、以下のルールを守りましょう。
2.個別の問題の対策について
個々の問題の対策を紹介していきます。英検3級から準1級のスピーキングの問題では5つの形式の問題が出題されるのですが、特に得点率を高めたい問題は答え方が明確な「パッセージの音読」「パッセージについての質問」「イラストについての説明」の3つの形式になります。Questionのなかで一番分量の多い「受験者の意見を問う質問」についてはテーマに関係する相手の質問を聞き取る必要があるため、リスニング能力が求められます。そのため、質問が聞き取れなかったり、聞き取れても予想だにしない内容のために答えを思いつかないこともあり、対応が難しい形式です。
・パッセージの音読
まず「パッセージの音読」についての対策から扱うのですが、実はこの問題ではスピーキング能力は全く必要がありません。どちらかというと、与えられた初見の文章を読む必要があるためリーディング能力と音読のスキルが重要になります。音読の際は個々の単語の発音も重要ですが、フレーズを意識して読むことが重要です。そのため、多くの英文に触れてフレーズを意識することが対策のポイントになります。この問題はある程度スラスラ読めれば満点が取れるため、対策をしっかり行うことをオススメします。
主な対策方法は二次試験対策の問題集の文章の音読になるかと思います。フレーズを意識して読みましょう。問題集の参考リンクも紹介しておきますが、かなり役立つのでオススメです。
また、音読の練習を通じて英語のリスニングやスピーキング能力も高めていくことができるので、英検スピーキングの問題の演習をしつつ、その他のスピーキング部分の練習となる英語力を付けていきましょう。
・パッセージについての質問
続いて「パッセージについての質問」問題ですが、この形式は各級で必勝法がある問題になっています。簡単に言うと、代名詞や指示語の理解を試す問題になっています。そのため、この問題もスピーキング問題というよりはリーディング能力を試すクエスチョンです。詳しいポイントは級別の記事で紹介をしていきます。
準2級の例を出して簡単に説明すると、HowまたはWhyから始まるクエスチョンが与えられ、その該当箇所を探すとby doing soやin this way、for this reasonという部分があり、その内容をパッセージ中から探し出して答えるという形式になっています。3級では指示語がない形になっており、2級ではさらにもう一段階指示語が加わって難易度が高まります。
この問題も対策をしっかり行うことで、高得点を取ることができる問題のため、合格のためには対策が必須です。
・イラストについての説明
この「イラストについての説明」問題は、準1級と2級、準2級と3級で形式が変わってくる問題です。この形式についても、英検のスピーキングの合格のためには高得点を取ることが求められます。まず準2級と3級の問題については1枚のイラストの登場人物についての描写をする問題となっています。とくに、準2級と3級では問題のポイントとなる文法事項が決まっており、準2級では現在進行形、3級では未来形を問う問題が必ず出題されます。その他にもポイントがあるため、各級の対策記事で詳しい対策方法を掲載していく予定です。
一方、準1級と2級では4コマ、3コマのストーリーのあるイラストが与えられ、その内容をストーリーテリングという形で説明していくことが求められます。2級はイラストの中に繋ぎの文やセリフの一部が与えられており、それを用いてイラストの内容を伝えることができるため、慣れれば簡単な形式です。これについてもぜひ予想問題集を活用して対策をすることをオススメします。なお、2級の4問あるクエスチョンのうち、イラスト説明問題のみが配点10点のため、この問題の出来は合否に関わる重要ポイントになります。
また、準1級ではこのイラスト説明問題の配点が15点と非常に高いほか、クエスチョンで「イラストに関連した質問」として「あなたが4コマ目の登場人物ならどのように考えるか」を尋ねる問題が出題されます。そのため、イラスト問題の出来によっては不合格が一瞬で決まる、ということもありえます。
・受験者の意見を問う質問
さて、スピーキングテストの中では難しい形式である「受験者の意見を問う質問」ですが、どの級においても1問程度は答えられなくても不合格になることはありません。むしろ、分からない問題があった際に黙り込んでしまったり、日本語で喋ってしまうなどの対応をしてしまって、アティテュードの点数まで下げてしまうことがないようにしましょう。また、1問分からなかったからといって、投げやりにやらないことも重要です。
ここで問われる質問のトピックは与えられたパッセージやイラストに関係するもの、低い級では受験者自身の私生活に関係するものが問われます。実際に答える際のポイントとしては、意見を表明するだけでなく、なぜそのように思うのか、より詳しい説明や具体例を付け加えることが高得点を取るために必要な要素になります。この答え方は英検ライティングの問題の答え方に似ているため、同じような思考法をとると良いでしょう。
なお、質問の内容は級が上がればどんどん難しくなっていき、3級では休日の過ごし方のような質問で答えやすいのですが、準1級では日本の将来についてであるとか、社会問題についての意見を聞くような内容となり、日頃からそうした社会の問題について考えているかという要素も、この問題で高得点を取るために重要なポイントになります。
5.おわりに
この記事を通して、英検スピーキングの出題形式と対策方法を理解してもらえたでしょうか。英検スピーキングの問題は級によって異なる部分が多いですが、級が上がっても同じ問題形式が使われている部分があるため、是非この記事の内容を参考に対策をしてみてください。また、採点基準などは1級以外の級で使える部分がほとんどです。ここでしっかりと理解しておきましょう。また、具体的なポイントは今後執筆していく各級の攻略記事で紹介をしていく予定ですのでお待ち下さい。
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