1.はじめに
ごきげんよう!椎名まつり(@417matsuri)です。今回の記事は「英検徹底解剖シリーズ」の第三弾として、英検一次試験のリーディングセクションの出題形式・対策について書いていきたいと思います。2024年度からの問題形式リニューアルにも対応しておりますので、安心してお読みください。
同シリーズでは英検CSEスコアについての紹介、ライティング・スピーキングセクション全般の解説を行いましたので、こちらも合わせてご覧になって下さい。
今回も特定の級に特化した対策ではなく、3級から1級までの全ての級で通用する、基本的な考え方を説明していきます。是非最後までお読み下さい。
2.英検リーディングの出題形式・対策
英検リーディングの出題形式ですが、1級から3級までの各級では4種類の問題が出題されます。まず、英検で出題される問題形式を一覧にすると以下のとおりで、リーディングセクションでは全ての形式について問題が4択の選択肢から1つの正答を選ぶ形式になっています。
- 短文の空所補充(1級~3級で出題)
- 会話文の空所補充(準2級・3級で出題)
- 長文の空所補充(1級~準2級で出題)
- 長文の内容一致(1級~3級で出題)
また、英検各級の問題形式別の設問数、合計の設問数の一覧は以下の通りになります。
級 | 短文空所補充 | 会話文空所補充 | 長文空所補充 | 内容一致 | 問題数合計 |
1級 | 22 | 6 | 7 | 35 | |
準1級 | 18 | 6 | 7 | 31 | |
2級 | 17 | 6 | 8 | 31 | |
準2級 | 15 | 5 | 2 | 7 | 29 |
3級 | 15 | 5 | 10 | 35 |
ここまでで各級の問題形式についての基本的なデータを紹介していきましたので、ここからは、それぞれの形式の具体的な出題形式と対策方法について説明をしていきましょう。
1.短文の空所補充
この形式こそが英検リーディングの中で最も重要かつ、最も対策に時間のかかる形式です。問題自体は、短文または短い会話文(1往復)の一部に空欄があり、そこに当てはまる適切な単語を選択するという非常にシンプルな形式です。
・なぜこの形式が重要なのか
まず、なぜこの問題形式が最も重要かを説明していきます。まず、この出題形式は1級から3級までのすべての級において、この形式がリーディングセクションにおいて最も出題数の多い形式であることが非常に重要です。2024年からの問題形式リニューアルによって分量は多少減りましたが、1級と準1級では約60%、2級・準2級・3級でも50%以上がこの形式の問題になります。また、英検では各セクション内において、全ての問題の配点が同じです。つまり、リーディングセクションにおいては短文の空所補充問題も、後半の長文問題も同じ配点になっているわけですね。
英検リーディングにおいて一次試験の合格点を取るためには、受験級やリスニング・ライティングの点数にもよりますが、約6割から7割の得点率が求められます。そのため、短文の空所補充で高得点を取れば取るほど、その他の問題で必要な得点は下がっていきます。逆に、このセクションで点数が取れないとリーディング全体の得点率がかなり低くなるため、合格することが難しくなってしまいます。
ここからは具体例で見ていきましょう。たとえば英検準1級において、各技能でバランス良く得点をして合格を目指す場合、リーディングセクションでは全31問中、約22問に正解する必要があります。もし、18問ある短文の空所補充問題を全問正解すれば、リーディングの残りの13問でたった4問正解すれば合格レベルの得点となります。
一方で、もしも2問に1問、つまり18問中9問しか正解しなかったとすると、残りの13問で全問正解しなければ合格点に届くことはありません。短文の空所補充問題の正答数と、残りの問題での必要な正答数は以下の表の通りになり、短文の空所補充問題で半分は正解をしないと合格が不可能であることが分かります。そのため、この形式が合格の可能性を決めるという意味で最も重要な問題となります。
短文の空所補充の正答数(正答率) | 他の形式で必要な正答数(正答率) |
18問(100%) | 4問(31%) |
15問(83%) | 7問(54%) |
12問(67%) | 10問(77%) |
9問(50%) | 13問(100%) |
英検1級と準1級では特にこの傾向が顕著であり、短文の空所補充では最低5割の得点を取り、以降の長文問題は全問正解するような形で解くことがリーディングで合格点を取るためのポイントになります。また、英検2級・準2級・3級においても短文の空所補充で最低5割の得点が必要という点は変わりませんが、後述する長文問題を短文の空所補充よりも苦手にする受験生も多いため、この短文の空所補充でなるべく高い得点を取れると良いでしょう。
・出題の傾向と対策法について
また、具体的な出題の傾向についてですが、1級・準1級では全ての問題が単語の知識を問うもの、2級・準2級・3級では5~6割が単語の知識を問うもの、2~3割が熟語の知識を問うもの、残った1~2割が文法の知識を問うものになります。そのため、対策としては英単語の知識を高めていくことが最優先になりますが、2級以下の場合は熟語・文法についてもある程度対策をしておくべきでしょう。
また、英検の全ての級において、この形式で出題される単語のレベルは、他の部分で出題される単語よりも難しいものになります。そのため、この形式の対策のためには単語力を高めるほかなく、対策に一番時間の掛かる形式になります。特に、英検1級・準1級では普段見慣れない単語が多く出題されるため、特別な対策が必要になります。具体的な対策方法については、各級の攻略記事で紹介していきます。
2.会話文の空所補充
この形式は英検準2級と3級でそれぞれ5問出題される形式で、2人の会話の中にある空所に当てはまる適切なフレーズを補充するタイプの問題です。この形式では単語や文法の知識というよりは会話の流れを理解していく能力が求められます。この形式は、次に紹介する長文の空所補充を会話という形で分かりやすくした形式であり、攻略法についても長文の空所補充と共通のため、次の項で説明をしていきます。
この形式は得点が取りやすいので、確実に得点源にしていきたい問題形式です。しかし、英検準2級では4往復という非常に長い会話を題材にした問題が出題され、慣れていないと問題を解くのに手間取るため、事前に過去問を解いて対策しておくと良いでしょう。
3.長文の空所補充
このタイプの問題は英検準2級以上で出題される形式になります。内容としては説明文・評論文を読み、空所に当てはまる適切なフレーズを選択するタイプの問題です。ディスコースマーカー(文と文をつなぐための副詞や熟語)を選択する問題こそ出題されますが、会話での空所補充と同様に、文法・語法の知識ではなく、文章の流れを理解する能力が問われる問題になります。
このタイプの問題の攻略法はいくつかありますが、まず注意しておきたい点は「与えられた話題から逸れないようにすること」です。最後の内容一致問題を含め、英検の長文問題では必ず文章のタイトルが与えられます。そのため、本文の内容は必ずタイトルに沿った内容になります。その趣旨から反するような選択肢は基本的に誤答になることを抑えておきましょう。
次に、選択肢の穴埋めをするにあたって気をつけたい点として「空所のある前の文と後ろの文まで読んで内容の合うものを選択すること」を徹底しましょう。誤答となる選択肢の多くは、「空所の前の文とだけ繋がっている」か「空所の後の文とだけ繋がっている」引っ掛けのパターンが多いです。そのため、空所の前後1文ずつを読んでも違和感のない選択肢を選ぶようにしましょう。
最後に、一番重要なポイントを解説します。それは、「プラス・マイナスのイメージを活用すること」です。これは具体例を見ながら考えましょう。例えば、以下のような構成を考えます。
Most Japanese people have the idea that they are deligent. However, ( ). For example, many young people in Japan think it important to have time for their hobby.
空欄の前の文ですが、「日本人は彼らが勤勉だという考えを持っている」とプラスイメージの内容が書いてありますね。ポイントは空欄の直前のHoweverで、これはご存知の通り逆接を示す副詞です。そのため、空欄の中には直前まで書かれていたプラスイメージの内容とは逆のこと、つまりはマイナスイメージの内容が入ってくることが分かります。空欄の後にも「趣味を重視する若者が多い」と、勤勉さとは逆の話題が続いていることからも、Howeverの前後で話題が大きく変わることを想像することが出来ます。
この形式については、テクニックを上手く利用することで高得点を狙えるため、ぜひ上にあるポイントを意識しながら演習をしてみましょう。
4.長文の内容一致
この形式は定番中の定番とも言うべきもので、1級から3級までのすべての級において出題されます。形式は各級により異なるため、以下の表をご覧ください。
級 | 1問目 | 2問目 | 3問目 |
3級 | 広告・掲示文 | Eメール | 説明文 |
準2級 | Eメール | 説明文 | |
2級 | Eメール | 説明文 | |
準1級 | 説明・論説文 | 説明・論説文 | |
1級 | 説明・論説文 | 説明・論説文 |
見ての通り、全ての級で出題されるのは説明文の系統のもので、2級までではEメールを題材にした問題が出題される点がポイントになります。Eメール問題と説明文では問題の解き方が変わってくるので、3級から2級までの各級を受験する皆さんは注意しましょう。
それぞれの具体的な問題の解法説明は級ごとの対策で行いますが、今回はEメール問題と説明・論説文を解く際のポイントを簡単に扱っていきます。
1.Eメール問題の対策法
Eメール問題にはこれをすれば簡単に解けるというテクニックはないのですが、注意するべきポイントがいくつかあるので紹介をしていきます。
まず、「メールの送信者と受信者が誰なのかを必ず把握すること」です。メール問題では「誰が何をした」のかが問われることが多いので、メールの送信者と受信者の名前を把握しておかないと解けないことがほとんどです。そのため、まずは本文より手前の名前の欄を確認する癖をつけましょう。また、短い文章にも関わらず多くの人物が登場するケースがあるので、この場合は特に気をつけましょう。
また、出来事について問われる問題も多いので、「いつ、どこで、何があるのか、誰がするのか」を把握するようにしましょう。日付と時刻については、メールの送信日や時間を確認しないと解けないケースがあるので、注意しましょう。
2.説明・論説文の対策法
説明文・論説文についてはいわゆる一般的な内容一致の長文問題になります。英検の長文特有のポイントは少ないのですが、「タイトルが付いているため、それをヒントに読むことができる」点と、「大学受験の問題に比べて短い文章が多い」点は注意するべきでしょう。
また、この形式では、基本的に問題の順番が本文の流れと合っているため、最初に1問目の問題文を読んでから本文を読み、解答の根拠になる箇所を見つけたら1問目を解き、次に2問目の問題文を読んでから本文の続きを読み、解答の根拠になる箇所を見つけて2問目を解く、という流れで問題を解くことができます。
これらの長文読解の問題は、2級までの各級では大きな壁として立ちはだかりますが、準1級以上では短文の空所補充の語彙レベルに比べて圧倒的に問題が解きやすく、落としてはいけない問題になります。準1級・1級を受験する方は満点を狙って問題演習をするようにしましょう。
3.おわりに
この記事を通して、英検リーディングの出題形式と対策方法を理解してもらえたでしょうか。ここまで紹介してきた通り、ほとんどの級で同じ形式の問題が出題されるのですが、実は級によって点数の取りやすい問題と取りにくい問題が変わってきます。そのため、具体的なポイントは各級の攻略記事で紹介をしていますので、以下のリンクからご覧ください。
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