1.はじめに
ごきげんよう!椎名まつり(@417matsuri)です。今回の記事はツイッターで一時期投稿していた英検1級レベル(10000~15000語レベル)の英単語問題になっています。今回は7問ですが、難易度は最初の問題だけ少し易しめで、あとはすべて同じくらいです。網羅性はありませんので、問題集や単語帳を買う前に、自分のレベルを試すために使ってみてください。
ただ、出てきた単語については解説として、語源や関連語をしっかりと紹介しています。単語を覚える際の補助にしてみてください。
問題を解くついでに、今回出題した単語のうちいくつ覚えているかをぜひ数えてみてください。最後に知っていた単語数に応じた単語力のレベルを簡単に判定します。単語帳選びの参考にしてみてください。
2.英単語問題
(1) The administration has successfully ( ) the terrorist organization.
- disarrayed
- dismantled
- dissected
- discriminated
答えは2。
dismantleは「解体する」という意味。選択肢はいずれも、dis-「分離」のニュアンスを持つ英検準1級~1級レベルの語。問題文の訳は「政権はテロ組織を解体することに成功した」。
<単語解説>
1のdisarrayは「配列(array)」を乱すことで「混乱させる」という意味。arrayには本来「準備」という意味があり、readyと同語源。準備を整えたものが「配列」ということになる。
2のdismantleは「覆い(mantle)」を取ることで「解体する」という意味。mantleは日本語の「マントル」を想像してもらうと良いかと思う。
3のdissectは「切って(sect)」離すことで「切断・分析する」という意味。sectの付く語は多く、汎用性の高い語源。sectionやsectorは言わずもがな、bisect「二等分する」、insect「昆虫」、scythe「鎌・サイス」なども同じ語源を持つ単語。
4のdiscriminateは「選り分けて(cernere→criminate)」分割することで「差別する」という意味。cernereが派生した[krei-]の付く語は非常に多く「分別する、区別する」という意味をそれぞれ持っている。同じcriの部分を持つcriticは良し悪しを区別する人なので「批評家」、cerの形を持つcertainは「(他とは区別される)特定の・とある」となっている。
<余談>
mantleという単語は日本語の「マント」と「マントル」の両方の意味を持っていることを知っていましたか?前者はフランス語のmanteauに由来するので「マント」と呼ばれるようになり、後者は英語mantleが輸入されたので「マントル」と呼びます。
(2) The prime minister was criticized for his ( ) interference in the elections to be held today.
- unrelenting
- unfeasible
- undue
- unequivocal
答えは3。
undueは「過度の・不適切な」という意味。選択肢はいずれもun-「否定」の接頭辞から始まる英検1級レベルの英単語。問題文の訳は「首相は本日行われる市長選に対して、過度の干渉を行ったかどで批判を受けた」。
<単語解説>
1のunrelentingは「しつこい・容赦のない」という意味で、relentless「無慈悲な」を思い出すことが出来ればこの語も意味を想像しやすい。ちなみにrelentは「弱まる・和らぐ」という意味。これら3語は全て英検1級レベル。
2のunfeasibleもfeasible「実行可能な・もっともらしい」がわかっていれば「非現実的な」という単語の意味は想像が可能だろう。
3のundueはdue「当然の・適切な」の否定形で「不適切な」となる。
4のunequivocalはやや難しい語。equivocal「曖昧な」の否定形で「明白な」という意味になる。equiはequalと語源は同じなので、「同じ音(equal voice)を複数の意味に解釈できる」=「曖昧な」と覚えておくとよい。
(3) It took more than eight years to confirm the truth of Professor Mochizuki’s paper due to the ( ) nature of the theory.
- esoteric
- rubric
- kinetic
- fanatic
答えは1。
esotericは「難解な・秘密の」という意味。esoteric nature of~で「~の難解さ」を意味する表現として使う。なお、選択肢は全て-icで終わる名詞・形容詞になっている。問題文の訳は「その理論の難解さ故に、望月教授による論文が正しいことを確かめるのに8年以上がかかった」。
<単語解説>
1のesotericは「難解な・秘密の」という意味で、特に選ばれたものだけに伝えられる技能等を表す際に本来は用いられる。「内側の」を意味する接頭辞eso-から始まる非常に珍しい英単語で、英検1級レベルでもesophagus「食道」とesotericの2語くらいしかない。また、対になる接頭辞exo-「外側の」が付く単語としてexodus「脱出」もセットにしておこう。その他には類義語のarcane「秘密の・奥義の」も英検1級レベル。
2のrubricは「説明・題名」という意味だが、日本語では「評価基準」を意味する教育用語の「ルーブリック」としてカタカナ語化している。語源はred,rubyと同じで「赤色の」ということで、「赤字で書かれている部分」を本来は意味する。当時はキリスト教の儀式の進め方は赤字で書かれたので、「説明」という意味になった。また、タイトルを目立たせるために赤字で書いたため、「題名」という意味にもなっている。
3のkineticは「運動の・活動の」という意味で、身体の動きに関係する語。遠く離れた(tele)ところの物を動かすのがtelekinesis「テレキネシス」。cinematograpyも動きのある(kinemat)画像(graphein)を撮ること。
4のfanaticは「熱狂者・狂信者」という意味。宗教上の祝祭日を表すfestivalと同じ語源で、「神」に関係する語。そのため、宗教的な熱狂を本来は意味している。ちなみに、fan「ファン」はfanaticの短縮形。
(4) Many drugs that cause ( ) are subject to regulation due to their addictive nature.
- euphoria
- impasse
- reminiscence
- resurgence
答えは1。
euphoriaは「多幸感」という意味。選択肢はどれも英検1級レベルの名詞。これといったまとまりはない。問題文の訳は「多幸感をもたらす薬物の多くは、その依存性ゆえに規制の対象となっている」。
<単語解説>
1のeuphoriaは「多幸感」という意味で、eu-「良い」とpherein「運ぶ」の複合語。euから始まる単語としてはeuphemism「婉曲表現(良い言い方をすること)」も覚えておきたい。ユートピア(utopia)もこの「良い」を表すeuに由来する。
2のimpasseは「袋小路・行き止まり」という意味。「通り抜ける事(pass)ができない(in-)」ということで、比較的覚えやすい。同義語のdeadlockも覚えよう。
3のreminiscenceは「回想」を意味し、「再び」を意味する接頭辞re-から始まる語の1つ。意味も似ているremindと語源はほとんど同じなので、親戚みたいな感覚で抑えておいてあげよう。
4のresurgenceは「復活」を意味し、こちらも「再び」を意味するre-から始まる。「急上昇」を意味するsurgeが意味するように、surgenceの部分は「高まること」を意味しています。revivalやrebirthとも似通った単語だということが分かるのではないでしょうか。
(5) The magazine has long been enthusiastically supported by ( ) readers for its accurate commentary.
- lush
- savvy
- arcane
- dire
正解は2。
savvyは「抜け目のない・ものごとに精通した」という意味の単語で、選択肢はどれも短い形容詞。問題文の訳は「その雑誌は正鵠を射た論評により、長い間見識のある読者により、高い支持を受けている」。
<単語解説>
1のlushは「繁茂した・豊かな」という意味。石鹸などを売っているチェーンもlushで、「フレッシュでグリーン、青々と生い茂ったという意味と、同時に『酔っ払いの女性』という意味がある『LUSH』という言葉の響きを、創立メンバーたちが気に入」ったということらしい。通勤ラッシュはrush、アイラッシュはlashなので間違えないように。
2のsavvyはvが連続するなんとも奇妙な語。その分覚えやすい。意味は「抜け目のない・ものごとに精通した」で、フランス語やスペイン語から輸入されたと考えられており、英語としては比較的新しい語だという。
3のarcaneは「難解な・神秘的な」という意味で、既に紹介したesotericの類義語にあたる。この語は「神秘的でごく一部の人にしか理解のできない」というニュアンスになっている。タロットカードの「アルカナ(arcana)」はこの語の派生形で、タロットの神秘性を示しているらしい。
4のdireは「恐ろしい・悲惨な」という意味で、ラテン語に由来するとされるが、起源がハッキリとしていないらしく、同じ語源の語も存在していない。そのため、とにかく覚えるしかない。悲しい。
(6) The woman who accepted the offer on the street corner was ( ) by the possibility of making a lot of money right away.
- optimized
- tantalized
- revitalized
- jeopardized
正解は2。
tantalizeは「焦らす・興味を引く」という意味。ここでは受動態で用いられ「期待する」というニュアンス。今回は「~化する」を意味する接尾辞-izeで終わる動詞の問題。問題文の訳は「街角で申し出を受けた女性は、すぐに大金を稼げる可能性に胸を踊らせていた」。
<単語解説>
1のoptimizeは「最適にする・最大限に活用する」という意味。「楽観論者」を意味するoptimistから逆に派生した単語であり、どちらも「最善を望むこと」を意味するラテン語のoptimumに由来している。最善を望んで生きるのがoptimistで、最善になるよう行動するのがoptimizeである。
2のtantlizeはギリシャ神話に登場する残忍な王Tantalusに由来する言葉。彼は「地獄Tartarusで、果物の木に囲まれた泉にいるのに、水や果物を得ようとすると両方とも遠ざかってしまう罰を受けている」とのことで、何かを見せることで「焦らす・興味を引く」ことを意味する語となった。
3のrevitalizeは「復興させる・活性化する」という意味で、「再び(re)命を(vital)与える(ize)」ということで丁寧に接頭辞・語幹・接尾辞を追えば意味を理解出来るだろう。
4のjeopardizeは「危うくする・危険に晒す」という意味で、「危険」を意味するjeopardyの動詞形。jeopardyという単語は本来「どちらが勝つか五分五分のゲーム」という意味であり、敗北のリスクに晒されることから、「危険」という意味になった。
(7) The prosecutor presented ( ) evidence that the woman had hacked into the server and leaked customer information.
- incomparable
- laudable
- practicable
- tangible
正解は4。
tangibleは「触れられる・明らかな・具体的な」という意味の語。今回は「~できる」という意味を持つ形容詞を作る接尾辞-ableが付く単語の問題。問題文の訳は「検察官はその女性がサーバーにハッキングして、顧客情報を流出させたという明白な証拠を示した」。
<単語解説>
1のincomparableは「比較できない」という意味。これはcompare「比較する」に否定のin-が付いていると理解すれば易しい。
2のlaudableは「称賛すべき・見事な」という意味。laudは「称賛する」という動詞で、こちらも英検1級レベル。
3のpracticableは「実行できる・実用的な」という意味。practice「実践する」ことができるということで、これも単語の難易度のわりには理解しやすい語。
4のtangibleは「触れられる・明らかな」という意味で、「触れられる」という意味から、それくらいに明白ということで意味が派生している。触れるという意味のラテン語tangereに由来し、同じ語源の語には「連絡を取る(in touch with)」を意味するcontact、「接線・正接」を意味するtangentがある。「統合する」のintegrateも触れ合わせて一つにまとめるというイメージで覚えると良いだろう。
3.おわりに
さて、全7問の出来はいかがだったでしょうか。正解不正解も大切ですが、知っている単語の数を地道に増やしていくことが大切ですよ!
最後に知っていた単語数に応じて、オススメの単語帳のレベルを決めてみました。単語帳のレベルについては語彙レベルをもとにして決めています。
知っている単語数 | オススメの単語帳 |
26~28語 | 20000語以上レベル |
21~25語 | 15000語レベル |
15~20語 | 10000語レベル |
14語以下 | 7000語以下レベル |
それぞれのレベルのオススメ単語帳については、以下の記事で紹介しています。ぜひ自分に合った1冊を探してみてください!
コメント