英語学習法の技能別分類とオススメの組み合わせ【現代になぜ英文法を学ぶのか?】

英語の学習法の分類 オススメの勉強法 受験対策
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1.はじめに

 ごきげんよう!椎名まつり(@417matsuri)です。今回の記事では、英語の4技能を総合的に高めていくために、どのような分野の学習を行っていく必要があるのか、英語学習の様々な方法・分野をいくつかのカテゴリーに分類することで、考えていこうと思います。このブログの読者の皆さんは英語力を高めることを目標に日々様々な形で勉強をしていると思いますが、ここで改めて英語学習の手法をカテゴリーに分類して、目標に応じてどのような学習を行うべきなのかを今一度見直してみましょう

 一口に「英語の学習」と言ってもその手法は千差万別であり、例えば多くの英語学習者は英単語の暗記を行い、長文問題やニュース記事の読解に取り組んでいることかと思います。また、大学受験などを目標にする高校生の皆さんは英文法・英文解釈といった特有のカテゴリーの学習に取り組んでいることでしょう。ビジネスユースのために英語を学習する方は英会話教室に通ったり、オンライン上での英会話を学習の一環としているでしょう。

 これらの多様な英語学習法のうちいくつかは英語4技能のどれかを高める手法であることが明確ですが、英単語や文法、英文解釈のようにどのカテゴリーに属するのか分かりにくい学習法もあります。今回の記事では英語学習法をカテゴリー分けした後に、それぞれの学習法がどのような効果を持つのか、どのように学習をしていけばよいのかを検討していきます。

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2.英語学習のカテゴリー分け

 では、数多くある英語学習法を英語4技能を中心においたカテゴリーに分類してみましょう。簡単な分類は以下の図のようになります。

英語学習法の技能別分類表

 本来、多くの英語学習法は英語4技能の複数の分野にまたがる(例:音読をするとスピーキング力だけでなく、リスニング力リーディング力も高まる)ものですが、上の図では一番効果のある分野に配置を行いました。また、プレゼンテーションなど、多くの技能が関係するものは一旦この表からは除外していますが、1つの学習法で大きく伸ばすことができる技能は1つから多くて2つ程度です。

 ここでまず理解して欲しいことは、英単語と英文法の学習は英語4技能のどれかに属するものではなく、全ての技能の基礎にあたるということです。英単語のスペルが分からなければ読み書きができるはずはありません。あるいは英単語の発音が分からなければ単語を聞き取ったり、話したりすることは不可能です。同様に、どれだけ多くの単語を知っていたとしても、英文法を理解していなければ論理的な文章を理解し、また構成することは不可能でしょう。

 また、各技能のレベルを高めていくにつれて、英単語と英文法においてもより高いレベルが求められていくという関係が成り立ちます。より多くの単語を知っていればより複雑な概念を理解し、伝えることができるようになるでしょう。また、英文法の知識があれば、関係詞節を含んだ長い文を理解したり、仮定法が絡んだ込み入った内容を説明することができるようになっていくわけですね。

 よって、英語力を全体的に高めていきたいと考えている方については、何か1つの勉強法をやればOKということはなく、様々な方法を組み合わせていく必要があります。以下では、それぞれの方法がどのようなメリットを持っているのか、考えていきます。そして、学習者の皆さんは、それを参考にしつつ、自分に合った学習法の組み合わせを考えましょう。

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3.各学習法の効果について

 では、カテゴリー分けした英語の学習法のうち代表的なものについて、その効果や注意点、組み合わせるべき他の学習法を検討していきましょう。まずは、4技能のどれにも属さない英単語・文法について検討した後に、リーディング・ライティング・リスニング・スピーキングの4技能の学習法をそれぞれ紹介していきます。

1.英単語学習

 英単語の学習は全ての基礎であり、そして英語学習における果てしない部分でもあります。英語学習を始めたばかりの学習者がHelloの1語を習ってから英単語学習の旅は始まるわけですが、英単語の学習には終わりがありません。私もそれなりの英語力を身に着けてきたと自負していますが、まだまだ見たことのない英単語を見かけては意味を調べたり、この単語の使い方は合っているのかな、と調べ続けています。

 英単語についてはその数が限りないことも重要ですが、学習した英単語はその理解度に応じて、見て意味が分かる「認知語彙」と実際に使用できる「使用語彙」に分かれることを抑えておきましょうリーディングやリスニングで理解できる単語を増やすためには「認知語彙」を、ライティングやスピーキングで使用できる単語を増やすためには「使用語彙」を増やすためのアプローチをしていきましょう。

 別の記事では英単語の学習を効率的に進める方法や、英単語帳のオススメについても書いているので、興味のある方はこちらもご覧になってください。

2.英文法学習

 英文法の学習については中学校や高校における英語学習の重要な位置を占めている部分でありますが、英語の4技能として評価される部分ではありません。しかしながら、英文法は先ほどの図で見た通り、英語力の基礎・土台となる部分であり、初級レベルのCEFR A1以下の段階から、長期にわたる学習が求められます。ただし、英単語の学習とは異なり、英文法の学習事項は無限にあるということはなく、CEFR B2レベル以上の学習者は全く新規の英文法の事項を習うということは滅多にないでしょう。

 そのため、中級レベル以上の学習者は英語力の土台となる「英文法の内容を知っている」ことになりますが、リーディングをはじめとする各技能において習った英文法を使いこなせる」学習者は多くありません。CEFR Cレベルに分類されるような学習者であっても、あらゆる文法事項を英語の全ての技能において運用できるとは限りません。そのため、英文法の「知識」はあくまで基礎であり、この「知識」を使える「能力」に高めることが各技能における目標、高いレベルの学習者となるための条件になります。

3.リーディングを中心とした学習法

 では、英語4技能のうち、リーディングを中心にした学習法の内容と効果を検討していきましょう。今回は大学受験対策などで最もメジャーな学習法である「英文解釈」と「長文読解」について考えていきます。

 この2つの学習法はどちらもリーディング能力を高めるための手法であることは間違いありませんが、求められるスキルや高めることのできる能力に大きな差があります。そのため、英語の総合力を高めるには様々な学習法を並行して行う方が良いでしょう。

・英文解釈について

 英文解釈は与えられた英文を日本語に和訳するというタイプの学習法ですが、これは一文一文、一語一語に至るまでを精緻に解釈する必要があるため、基礎力である英単語や英文法の能力が高く求められる形式になります。そのため、リーディング能力を高めつつ、基礎的な英語力を伸ばすことに適した形式であると言えます。

 他の技能との関わりにおいては、英文解釈ではひとつひとつの文を丁寧に読んでいくため、学習した文をスピーキングやライティングといった他の技能において活用することができるようになることが想定されます。

・英語長文の読解について

 英語長文の読解は、非常にメジャーな学習法であり、リーディングそのものの能力を試す形式になります。また、学習においてもリーディング単体の能力を高めるために長文読解は欠かせません。しかし、単純に読むだけではリーディング以外の能力は高まらないため、複数の技能の能力を高めるには音読などの他の学習法を併用する必要があります

 そのため、大学受験などの受験そのものでは英語長文を読み解くリーディングスキルが非常に重要になるのですが、リーディング能力を効率よく高めるためには英単語や英文法の学習を通じて英語の基礎力を高めていったり、基礎的な英語力とリーディング能力の両方を高めることのできる英文解釈についてもチャレンジしていくことが必要になっていきます。

4.リスニングを中心とした学習法

 続いてリスニングの学習法ですが、ただ英文を聞いてリスニングの力のみを高めていくという手法もある一方で、「ディクテーション」や「シャドウイング」という手法を用いて学習してきた方も多いかと思います。簡単にこれらの手法を説明すると、ディクテーション」は聞き取った英文をスペルアウト(書き取り)することで、単純に聞き流すよりも丁寧に英文を聴いていく方法シャドウイング」が流れる英文の音を聞き取りながら自分でも発声をして理解力を高める方法になります。

 もちろん単純に聞くことによって英語リスニングの能力は高まるのですが、ディクテーションでは単語の書き取りを行うことにより、基礎にあたる英単語の学習に繋がります。また、英文中の聞き取れない部分が明確になることで、そうした単語やフレーズの発音能力の向上にも繋がります

 シャドウイングについても口を動かすことで、スピーキングの際に思考を挟まずに発言を行う能力が高まることが期待できます。また、内容をどんどん聴きながら発声していくため、聴いた言葉を即座に理解する能力が高まり、リーディングにおいても内容を頭から読み進めながら理解する能力が高まることが考えられます。

 このような形で、英語リスニングの多様な手法を実践することで、他の技能の能力や基礎である英単語の能力を同時に高めることが期待できます。

5.ライティングを中心とした学習法

 ライティングについては日本文をそのまま英訳する和文英訳と、与えられたテーマなどについて自由に意見などを論じる自由英作文の2つの形式が一般的で、当然ながら国際的な検定試験においては自由英作文の形式の能力が問われます。そのため、純粋にライティングの能力を高めたり、試したりするには自由英作文が最適の形式です。

 しかし、和文英訳をすることで得られる重要なものがあります。それは英語の基礎力である英文法の能力を高めることになるという点です。もし自由英作文で意見を求められ、何か書きたいことがあっても「今の英語力じゃ難しくて書けない」となった場合は、全く別の「書きやすい」意見を書くことができます。しかし、和文英訳では訳さないといけない日本語がある以上、逃げることはできません。そのため、英語のライティングの能力はもちろん、与えられた文章を訳すための文法の力を同時に付けることが可能になります。

 そして、こうして身につけた文法力は「書くことのできる英文のレパートリー」となり、ライティング力の向上にも繋がっていくため、自由英作文だけをしていては身につけることが出来ない能力を和文英訳では学ぶことができます。

6.スピーキングを中心とした学習法

 スピーキングの学習法についても色々な方法がありますが、まず1つ知っておきたいのはスピーキングと一口に言っても「他人と会話をする能力(ディスカッション)」と「他人に意見などを伝える能力(スピーチ)」は別の種類の能力であるということです。そして、一般的な学習法で言うと英会話では主に前者を、スピーチコンテストやプレゼンテーションといった学習では主に後者を高めていくことになります。

 近年では英語4技能という言葉の中でスピーキングの重要性こそ言われているところですが、このディスカッションスピーチという2つの種類のスピーキング能力をそれぞれ別のものとして評価することはまだ少ない状況です。例えば「帰国子女で英語が話せる」という触れ込みの学生や社会人が、雑談や会議では活躍していても、いざ英語でのプレゼンテーションとなると日本人と変わらない下手さであったりすることも往々にしてあります。こういったケースでは、ディスカッションの能力こそ海外経験の中で鍛えられたのかもしれませんが、スピーチの経験や技術に乏しいことが失敗の原因です。ぜひスピーキング能力を高めたいと考える学習者の方は、ディスカッションとスピーチのどちらの能力が必要なのかを見極めながら学習方法を考えていくことが重要です。

 また、上の図で例として挙げた音読はディスカッションやスピーチの能力を高めるというよりは、英文の発音などを学ぶという意味では両者に共通する基礎的な部分の学習になります。また、発音を知ることでリスニング能力を同時に高めることができる学習法になります。

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4.組み合わせ方の例

 では、沢山の種類のある英語の学習法をどのように組み合わせていけばよいのか、という問題ですが、これはゴールである目標によって異なってくるかと思います。ここでは幾つかの例を示してみますので、皆さんなりにアレンジしてみてください。

例1:英検に合格したい高校生のケース

→英検の試験形式に合った学習が重要

・英単語学習で基礎力・リスニング能力を向上

・長文読解でリーディング能力を向上

・リスニングの演習とシャドウイングでリスニング能力を向上

・自由英作文でライティング力を向上

例2:国公立大学受験を考えている高校生のケース

→スピーキングは不要、ライティングも受験大学の形式によっては不要

・英単語学習で基礎力を向上

・英文解釈で基礎力とリーディング能力を向上

・長文読解でリーディング能力を向上

・共通テストのみでリスニングを使うなら演習のみでリスニング能力を向上、二次試験でも必要ならより深い対策が必要

・必要なら和文英訳で文法力とライティング能力を向上

・出題があるなら自由英作文でライティング能力を向上

例3:英語を使ったやり取りのあるビジネスユーザー

→4技能まんべんなく必要で、スピーキングにおいてもディスカッション・スピーチの両方が必要になる場合が多い

・必要があれば英単語・文法の学習だが、基礎が十分ある場合は不要

・TOEIC対策書などでビジネス文章のリーディング能力を向上

・ビジネス英会話教室でリスニング・スピーキング(ディスカッション)能力を向上

・英語プレゼン教材を用いてライティング・スピーキング(スピーチ)能力を向上

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5.おわりに

 今回の記事では、多種多様な英語学習法を英語4技能をベースに分類し、それぞれの学習法がどういった効果を持つのかを検討していきました。語彙や文法の学習というのはどの技能にも属さないものではありますが、逆に全ての技能の基礎となる重要な部分でもあります。ただし、語彙や文法だけをやっていても英語が「使える」ようにはなりません。必ず語彙や文法の学習だけでなく、リーディングなどの4技能を伸ばすための学習を心がけましょう

 そのためには、繰り返しになりますが上で説明した様々な学習法をミックスすることが欠かせません。学習法を自分なりに組み合わせて英語力を上げていきましょう。

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